小説家とは
物語を生み出し人々の心を動かす仕事
小説家とは、文章で物語を生み出す仕事です。自らの経験や知識、想像力を活かして、読者を夢中にする物語を紡ぎ出します。純文学や私小説、ミステリー、SFなど様々なジャンルの小説があり、小説家は基本的に自分の得意ジャンルの作品を作っていきます。小説家の活躍の場は出版のための書下ろし小説だけでなく、新聞や雑誌などで行う連載小説、Webサイトや電子書籍で掲載・出版する小説など多岐に渡ります。近年は個人的な趣味でWebサイトに連載していた小説が人気を呼び、書籍化につながるというケースも増えつつあります。小説家が作り上げた作品は、心を刺激して興奮させたり、未知の世界を垣間見て知的好奇心をそそったり、感動で涙を流したりと、多くの人々の心を揺さぶります。自分の創作物が人々の感情に影響を与えるというのは、大きな喜びにつながるでしょう。
どんな仕事?
情景が目の前に浮かび上がるような文章で物語を表現する
頭の中でイメージした物語や情景、登場人物の会話などを文字にして、読むだけでその様子や心の葛藤が想像できる文章を書き上げる仕事です。基本的にはプロットと呼ばれる小説の設計図を作成し、起承転結などストーリーの土台を整理した上で執筆を進めていくことになります。物語の途中でどんでん返しが起きるなど、近年はプロットが優れた作品が人気の傾向にあるため、プロット作成は特に注力して行わなければなりません。また、魅力的な性格の登場人物を描くためにも、日頃から人や作品と関わりリアリティのある人物像を想像できるようになるとよいでしょう。
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POINT01
テーマ検討
伝えたいメッセージや物語の設定など、小説の大元となるテーマを考えます。テーマに沿って登場人物や時代、場所といった背景を設定し、誰の視点の物語なのかも検討します。
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POINT02
プロット作成
小説の設計図となるプロットを作成します。いつ、誰が、何をして何がおきたのかといったストーリーの土台を整理し、流れに矛盾や不足点がないかを確認。整合性がとれていなければプロットを補足して、物語をスムーズな流れにします。
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POINT03
取材
よりリアリティのある作品にするために、必要に応じて取材や資料集めを通して執筆の準備を行います。ここで得た知識や経験を元に、臨場感あふれる物語を作り上げます。
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POINT04
執筆・完成
プロットに沿って小説を執筆します。時折プロットを見直して、ストーリーの整合性を確認しながら進めていきます。担当編集者がいる場合は編集者と打ち合わせを重ねて、修正を入れながら小説を完成させます。
どうすればなれる?
小説家への道のり
小説家になるために取得しなければならない資格はありませんが、プロット作成能力やライティング能力、アイディアの出し方など小説を書く上での専門知識は学んだ方がよいでしょう。そのため、小説の基礎を学べる専門学校や大学で知識を身につけることをおすすめします。学生の内から積極的に文芸誌や出版社主催の文学賞に応募しましょう。そこで受賞することができれば、小説家としてデビューすることができます。それ以外にも、Webサイトなどに作品を掲載することもおすすめです。出版業界とのパイプを持つ専門学校であれば、デビューの支援制度を受けることができるケースもあります。
求められる知識・資質を磨く
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POINT01
構成力
小説はプロット次第と言っても過言ではない程、構成力が重要になります。整合性がとれており、物語として魅力的な構成と展開を生み出す力が求められます。
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POINT02
表現力・発想力
読者が物語に夢中になり、登場人物に感情移入できるようなストーリーやキャラクター設定を考える発想力が必要です。また、豊富な語彙力で情景や心理状態を豊かに描写する力も求められます。
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POINT03
精神力
小説家は締切りに追われながら執筆を進めなければならないことが多々あります。期限がある中で魅力的な物語を作り上げる集中力や、スランプに陥っても諦めずに仕事を続ける精神力や体力が求められます。
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POINT04
コミュニケーション能力
小説家は一人で仕事をするイメージがありますが、実際は担当編集者と二人三脚で作品を作り上げていきます。編集者から厳しい意見や修正が入っても喧嘩せず、より良い作品に仕上げるために意見を交わしながら協力しあう姿勢やコミュニケーション能力が重要になります。
必要な資格・試験情報
小説家になるために必須の資格はありませんが、文章読解・作成能力検定など、取得を目指すことで相手に「伝わる」文章を書く力が身につくでしょう。また、文芸誌や出版社などが主催するコンテストで受賞するとデビューが現実的なものとなります。魅力的な物語を継続的に生み出し、頭の中でイメージした情景やストーリーを文章で表現する力を養いましょう。日頃から様々なニュースや芸術作品、トレンドにアンテナを張り、テーマやアイディアのヒントにするという姿勢も大切です。テーマに取り上げるものは取材や資料を通して情報収集し、分からないことは調査するという探求心を持つことも重要です。