医療情報技師とは
医療機関で使用される情報システムを開発する仕事
医療情報技師とは、医療分野の情報システムを開発・運用・保守することで、医療スタッフや患者の負担を軽減したり診察の効率を向上させたりする仕事です。医療現場でもITを取り入れる流れとなっており、電子カルテやWeb診察予約システムなど、それらの開発に携わる仕事です。世間の認知度はまだ高くはないですが、医療とITに関する専門知識が求められるプロフェッショナルと言えるでしょう。なお、一般社団法人日本医療情報学会が医療情報技師の資格を付与しており、認定試験は2003年よりスタートしました。
どんな仕事?
医療機関に特化したシステムエンジニア
医療情報技師は医療機関に特化したシステムエンジニアとして、電子カルテやWeb診察予約システムなど医療現場で使用される情報システムの開発や運用・保守に携わります。ITに詳しくない医師や現場スタッフでも使いやすいシステムを開発するのはもちろんのこと、患者の個人情報が流出しないよう十分なセキュリティ対策をとる必要があります。また、電子カルテはシステムダウンしてしまうと診療することができなくなってしまうほどの影響を及ぼすため、運用・保守においても気が抜けません。近年は遠隔医療という概念から、オンライン診療やレントゲン解析などのニーズも生まれ始めているので、医療情報技師の活躍の場は今後も広がり続けるでしょう。
ここからは、医療情報技師の代表的な仕事について紹介します。
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POINT01
院内プレゼンテーション
導入するシステムについて、医師をはじめてとする院内スタッフにプレゼンテーションします。スタッフがITに詳しいとは限らないので、専門用語を多用せずメリットを分かりやすく説明することが重要です。この際、スタッフから機能に関する要望などが出れば、実装できるか検討します。
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POINT02
開発
医療システムを実際に開発します。開発は基本的に一人で行うのではなく、所属もしくは提携するITシステム会社と連携して開発を進めます。開発の際はITのプロでなくても使いやすいシステムに仕上げることを意識します。
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POINT03
運用・保守
診療時間前や後などにサーバー点検を行い、システムトラブルがあればすぐに対処します。トラブルを放置すると診療が行えなくなってしまうリスクがあるため、早急な解決が求められます。また、大きなトラブルにつながる前にコツコツと対処していくことが重要です。
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POINT04
スタッフへの指導
医師や看護師、医療事務などシステムを実際に使う人々に対して操作方法を指導します。マニュアルを作成したり、操作方法のセミナーを開催したりすることで、効率的に指導することができるでしょう。
どうすればなれる?
医療情報技師への道のり
医療情報技師になるためには、一般社団法人日本医療情報学会が付与する資格の取得が推奨されます。また、医療関係の幅広い知識とプログラミングやシステムメンテナンスなどのITに関する専門的な知識が求められます。そのため、医療やITの専門学校や情報系の大学で専門知識を学び、資格を取得した後、医療系のシステム会社やコンサルティング会社、病院などに就職するのが近道です。
求められる知識・資質を磨く
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POINT01
医療に関する知識
医療情報技師は実際にシステムを開発・運用・保守する仕事なので、ITに関する専門知識が求められます。医療現場で使われるシステムの特徴やプログラミング言語を習得し、どのようなシステムにも対応できる力を磨きましょう。また、医療に関しては医師のように詳しくなる必要はありませんが、医療現場でどのような仕事が行われているのか、診療はどのような流れで行っているのかなどの知識がないと、適切なシステムを開発することができません。医療現場に関する知識も身につけましょう。
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POINT02
プレゼンテーション能力
医療情報技師はITのプロではない医療スタッフにシステムに関するプレゼンテーションを行う機会が多いです。そのため、システムの特徴やメリットなどを分かりやすく伝えるプレゼンテーション能力が必要になります。
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POINT03
責任感
医療に関わるシステムは、故障やトラブルなどが発生すると患者の命に関わる恐れがあります。そのため、安定してシステムが稼働するよう運用・保守するための責任感が求められます。
必要な資格・試験情報
医療情報技師になるためには、医療情報技師能力検定を取得することをおすすめします。試験はマークシート方式で、「情報処理技術系」「医学医療系」「医療情報システム系」の3科目それぞれで合格点をとることが求められます。合格率は30~35%程度で、受験資格はないため誰でもチャレンジすることができます。難易度は決して易しいとは言えないので、早めに勉強を重ねていくとよいでしょう。また、日頃から最新のIT技術や医療に関する情報を収集するアンテナの高さも求められます。新しいシステムに導入できる技術はないか、情報収集を怠らずシステムの改善に活かしましょう。