機械設計エンジニアとは
ものづくりにおける重要なポジション
機械設計エンジニアとは、その名の通り「機械が動く仕組み」を設計する技術者のことです。一口に機械と言ってもその幅はとても広く、スマホのような小さなものから、石油コンビナートのような大きなものまで、すべては機械設計エンジニアがいて初めて存在すると言っても過言ではありません。実際、製造の現場においては、機械設計エンジニアは要ともいえる存在として、船や車、航空機等の重工業からパソコンや携帯電話等の精密機械のメーカーなど、幅広い業界で活躍しています。また技術力の高さを強みとする国内企業において高いニーズを誇っているのはもちろん、海外企業においてもその力は常に必要とされていることから、グローバルに活躍したい人にとってもおすすめの職種と言えます。
どんな仕事?
企画から設計、評価まで、ものづくりの全工程に携わる
機械設計エンジニアの仕事は、設計と名が示す通り、図面の作成がメインではありますが、組み立てや加工にも携わります。図面の作成においては、CADと呼ばれる専用のソフトを用いて行うケースが多く、併せてCAEという解析ツールを用いたシミュレーションを行うことも多いでしょう。加えて、実際の設計に入る前のコンセプト立案や用いる材料や部品、技術などの企画、試作品の評価テストの実施などを担当するケースもあります。機械設計エンジニアは、製造現場の上流から下流まで、あらゆるシーンに関わり機械開発をリードしていく重要な仕事といえます。
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POINT01
企画作成・構想設計
商品企画部などが持ってきたコンセプトや、自ら立ち上げた企画を元に、具体的な製品の構造を考えていきます。ここで大切なのは、その製品の意図や役割をしっかりと関係者に伝えるということ。基本的には鉛筆などで書いたポンチ絵と呼ばれるものを作成しますが、場合によってはCADを使って具体的なモデルを作成するケースもあります。
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POINT02
基本設計・詳細設計
ある程度構想が固まると、今度はより詳細な構造や仕様を設計していきます。ここで大切になってくるのは、求められる機能を満たすことはもちろん、安定した生産ができるかどうかも視野に入れておくことです。いくら機能が高くても、それを作り出すのに多大なコストが必要になってしまっては、製品を世に出すことができません。機能は高く、作るのは簡単、という状態を目指していきます。
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POINT03
試作・評価
設計が完了した後は、図面をもとに試作品を製作していきます。また出来上がった試作品は評価に回され、そこで構想通りの機能を出せているのか細かくチェックしていきます。ここで課題が見つかれば、再度設計をし直し、これを繰り返すことによって、製品のクオリティを高めていきます。
どうすればなれる?
機械設計エンジニアへの道のり
機械設計エンジニアになるためには、機械力学、材料力学、流体力学、熱力学という機械工学の4大力学の知識や、CADに関する知識・技術が必要です。まずは専門学校や大学の理系分野に進み、基本的な知識やスキルを磨いておくのが良いでしょう。機械設計エンジニアは、一般的な家電メーカーはもちろん、自動車、アミューズメント機器、工場などで使われる生産設備、産業用ロボットまで、幅広い分野のものづくりにおいて重要な役割を果たしています。また、今後ますます成長が期待されるIoT分野やドローンなどの精密機械の領域においても、機械設計エンジニアの存在がより一層求められていくことでしょう。技術力やアイデアが優れていれば、引く手あまたの人材となり優遇する企業も多く存在していくことでしょう。
求められる知識・資質を磨く
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POINT01
新たな技術に対する探究心
上で紹介した機械工学に関する基本的な知識やスキルだけでなく、常に進歩する技術に適応していく力が求められます。時には自身の専門分野ではない、より幅広い分野の技術にもアンテナを張り、情報を拾っていくことで、持ち前のスキルをさらに高めていくことができるでしょう。
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POINT02
発想力
まだ世にない新しいものを生み出す発想力は不可欠です。最新の技術や業界のトレンドなど情報を積極的に収集してアイデアを生み出す力を磨きましょう。
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POINT03
コミュニケーション能力
機械設計エンジニアは、クライアントや他部署のメンバーに対し、技術説明をする機会も少なくありません。そうした際には、設計の良し悪しだけでなく、いかにわかりやすく相手に説明できるかといったコミュニケーション能力が問われることも多く、より良い仕事をしていくためには必須の能力となります。
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POINT04
根気
設計の仕事には失敗がつきものです。トライアンドエラーを繰り返しながら、些細なことにも妥協せず、最良を目指していける根気の強さも、機械設計エンジニアには必須の能力と言えるでしょう。
必要な資格・試験情報
機械設計エンジニアになるための必須資格は特にありません。資格よりも現場での経験こそが、理想のキャリアを描いていくための重要な材料になるでしょう。手描きで製図を行うこともありますが、やはり高精度で効率的に製図作業を行うためには機械設計においてCADが必要不可欠です。機械設計用のメカニカルCADの知識や、操作スキルは身につけておくと良いでしょう。客観的に自身の知識や能力を証明するためにも効果的ですので、「機械設計技術者試験」や「CAD利用技術者試験」を取っておくと、幅広い分野で活用していくことができるはずです。仕事に就いてからも市場のニーズなど情報収集を怠らず、日進月歩変化していくテクノロジーの進歩をいち早くキャッチすることで、それを踏まえた提案を行えるようになるでしょう。