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電子回路設計エンジニアとは
機器の電子回路基板を設計する仕事
電子回路設計エンジニアとは、電子機器に組み込まれている電子回路基板の設計を行う仕事です。デジタル回路設計とアナログ回路設計の2種類があり、プロジェクトに応じてそれぞれに対応します。デジタル回路設計ではパソコンなどの電子機器におけるデジタル信号の処理や制御を行い、アナログ回路設計では電源や駆動部分の制御やアナログ信号の処理などを行います。近年デジタル回路設計は、効率的なロジックを組み立てるためにEDAツールと呼ばれるソフトウェアを用いて設計を自動化する流れが進んでいます。一方アナログ回路設計は、設計支援ツールの開発が進んでいるものの、今でもエンジニアの経験と職人技が求められます。理論上は問題ない場合でも、部品の配置場所が少し異なるだけで特性が変わってしまう可能性があるためです。目指す特性を効率的に達成するためにも、多くの実践を積むことが重要になります。
どんな仕事?
設計とシミュレーションを繰り返し製品化を目指す
電子回路設計エンジニアは、製品の設計者とどのような機械を作るか打ち合わせを行い、仕様書を元にどのように動かすべきか検討していきます。電子回路基板には情報を処理するための半導体が組み込まれており、これを中心に目的通りに動かせる電子回路を設計していきます。では、具体的な仕事の流れを見ていきましょう。
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POINT01
打合せ
製品の開発担当者と打ち合わせを行います。機械の目的や目標の動作をヒアリングし、設計に必要な情報を入手します。
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POINT02
システム設計
まずは全体的なシステムの設計を行い、その後、機能ごとに回路ブロックを分けて設計していきます。
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POINT03
機械設計
設計を元にプログラミングによる機械設計を行います。問題がなければ基板上でのレイアウトを検討し、詳細を詰めていきます。
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POINT04
シミュレーション
実際に電子回路基板を製作する前に、パソコン上でシミュレーションを行います。シミュレーションで想定通りの動作ができるかどうかを確認します。
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POINT05
試作品製作
シミュレーションに問題がなければ試作品を製作します。試作品が問題なく動いているか、開発担当者とともに確認します。
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POINT06
フィードバックと製品化
試作品に課題があればフィードバックを受け、修正点を改善していきます。この作業を繰り返し、製品化を目指します。
どうすればなれる?
電子回路設計エンジニアへの道のり
電子回路設計エンジニアになるための国家資格などはありませんが、極めて高度な専門知識とスキルが求められます。そのため、専門学校や大学で回路理論や電子回路、電磁気学、CAD、制御工学などの知識を身につけることをおすすめします。その後、メーカーや開発会社に就職し、まずは過去の設計を参考にしながら実際に回路設計できるよう経験を積んでいきます。実績を積むことで自らの設計思想を元に回路を設計することを目指します。電子回路設計エンジニアは他の技術職に比べて専門性が高いので、他の職種にキャリアアップするよりも、企業内でのリーダーやマネージャー、管理職にステップアップすることが一般的です。また、派遣や下請け企業で働いている場合は、開発元である大手メーカーへの転職を目指すケースも多いです。
求められる知識・資質を磨く
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POINT01
論理的思考力
どのように回路を組み合わせれば目的の動作を達成できるかを考える仕事なので、論理的に考えられる思考力が必要不可欠です。
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POINT02
探求心
電子回路設計エンジニアは回路設計を極める職種です。電子回路の設計図を見てワクワクできる好奇心やモノづくりへの熱意、そして技術を極める探求心が求められます。
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POINT03
チャレンジ精神
電子回路基板は設計通りに開発してもうまくいかないケースがあります。困難な状況に直面しても、諦めず様々な角度から開発に取り組んでいくチャレンジ精神と忍耐力が必要です。
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POINT04
コミュニケーション能力
電子回路設計エンジニアは直接クライアントの開発担当者と打ち合わせする機会が多いため、相手の意図をくみ取り適切な提案をするためのコミュニケーション能力が求められます。
必要な資格・試験情報
電子回路設計エンジニアが必ず取得しなければならない資格はありません。しかし、「EMC設計技術者資格」や「情報処理技術者試験」「CAD利用技術者試験」は仕事に直結する知識や技術を学べるので、資格取得を目指すとよいでしょう。EMC設計技術者資格とは電子機器や電子回路、プリント基板を設計する技術者の設計力を認証する資格です。「情報処理技術者試験」はエンジニアに必要な幅広い知識を身につけられる資格で、CAD利用技術者試験は業務でよく利用するCADの技術を客観的に証明できる資格です。近年はFPGA(Field Programmable Gate Array)と呼ばれる半導体チップが開発されたことから、製造の可能性が飛躍的に広がりました。FPGAとは製造後に論理回路を再構成できる半導体チップで、今後ますます需要が高まっていく見込みです。また、IoTやAIといった最新技術と組み合わせた製品開発が活発になっているので、これらの先端技術を取り入れる情報感度の高さが重要になります。